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中部山岳国立公園は、北アルプスを中心とする新潟・富山・長野・岐阜の4県にまたがる日本を代表とする山岳公園です。公園内には、白馬岳・立山・槍ヶ岳・奥穂高岳・乗鞍岳等の標高3,000m級の山々が連なります。急峻な地形と厳しい気象条件が人を寄せつけないことから自然環境が保たれ、ハイマツ帯や高山植物、ライチョウ等、高山特有の動植物が見られます。立山室堂や上高地、乗鞍岳畳平、新穂高等では、雄大な山岳景観や咲きほこる高山植物などを楽しむことができます。 |
立山連峰と後立山連峰の原型は、数千万年前の火成活動がもたらした花崗岩による、ひとつながりの穏やかな台地でした。数百万年前、地下深くから新しいマグマが上昇をはじめ、古い花崗岩の台地を急速に押し上げた結果、3,000m級の山々が形成されました。この時に地表まで上昇・露出したマグマの一部が黒部川花崗岩と呼ばれています。立山連峰と後立山連峰の合間を流れる黒部川は、上流域で年間4,000mmを超える降水量があり、台地の隆起が進むことによって、大量の雨水や融雪水による浸食も勢いを増し、花崗岩を深く削りました。こした激しい隆起と浸食の作用が、山の稜線と谷底の標高差が1,500mもある深いV字谷の地形「黒部峡谷」をつくりだしたのです。 |
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黒部峡谷は、立山連峰と後立山連峰の間に刻まれたV字谷です。このV字谷を流れる黒部川は、北アルプスの中央に位置する鷲羽岳(標高2,924m)を源流とし、流域面積667km2、流路延長85kmが、3,000m近い標高差を一気に流れ富山湾へ注ぐ、日本屈指の急流河川です。山頂や稜線近くの岩場から多様な高山植物が群生するなだらかな溶岩台地の雲ノ平を源に、上ノ廊下、黒部湖を経て、十字峡やS字峡などの深い峡谷が続く下ノ廊下をくだり、欅平へと至ります。多雨多雪な山岳地を流れる黒部川の激しい急流と険しい断崖は、黒部峡谷から上流への人の入山を困難にしており、特徴的な自然環境が守られてきました。 |
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